

これは音楽というよりも、リビングで映画を楽しむためのシステムです。
中には、レーザーディスク(LD)など、もう40年近く使い続けている機材も混じっています。
スピーカーはなんと11.5ch構成で、合計12個を配置。
全方位から音が飛び交う体験は圧巻です。
ただ、残念ながら部屋は防音仕様ではないため、大音量で楽しむことはできません。
テレビは80インチと十分大きいのですが、プロジェクターの映像に慣れてしまった私は満足できず、120インチのスクリーンも設置しています。
映像は、かつてのSD(標準画質)からHD、そして4Kへと進化してきましたが、個人的にはHD画質で十分だと感じています。
昔はSD映像を「ラインダブラー」という機器でリアルタイムに補完し、走査線の間を埋めて解像度を疑似的に上げていました。
そうした装置は100万~300万円もしており、さらにプロジェクター自体も数百万円と非常に高価でした。
それが今では、数万円で同等以上のシステムを構築できる時代になったのです。技術の進歩には驚かされます。
最近は、懐かしのLDを再生しながら過去を振り返ることも多く、まるで子どもの頃のアルバムを見て思い出に浸るような感覚です。
映像のクオリティは確かに向上しましたが、これ以上の解像度は、一般的な視聴体験ではあまり必要ないのではないかと考えています。
そもそも、人間の目でこれ以上の解像度を認識できるのは、VRのように視野全体を覆う体験に限られると思います。
理論的には、両眼で16K程度まで対応すれば、人間の視覚に限りなく近づくはずです。
今後の技術発展にも興味はありますが、人間の感覚器官の限界を超えることはできない以上、これ以上の画質や音質の向上にはそこまで期待していません。
蓄音機や白黒テレビの時代を知っている世代としては、この50〜60年の進化で、すでに“究極”に到達したのではないかと思うこともあります。
本当に、すごい時代になったものです。